一新総合法律事務所の弁護士が執筆した『子どものためのやさしい法律ガイド』（考古学書店刊）から、交通事故に関する記事をご紹介します。

 

交通事故を防ぐため、ぜひお子さまと一緒に理解を深めてください。

 

＜新潟の弁護士と学ぶ、子どものための交通事故ガイド＞

 

第１回目　事故はなぜ起こるの？

第２回目　事故の責任は誰に？

第３回目　命の値段はいくら？

第４回目　交通事故を起こしたら

第５回目　もし交通事故にあったら

第６回目　保険のいろいろ

 

 

第２回目のテーマは、「事故の責任は誰に？」です。

 

 

翼君の同級生の小次郎君は、友達とおしゃべりをしながら自転車に乗っていたところ、前をしっかりと見ていなかったので、前方の歩道を歩いていたお年寄りに気付かずにぶつかってしまいました。

お年寄りは倒れて、足に全治１か月の怪我をしました。

 

小次郎君は、お年寄りに悪いことをしたと思っていますが、どうしたらよいのかわからず、困っています。

 

 

■■　登場人物　■■

 

翼君

 

 菜々子さん

 

小次郎君

 

一新総合法律事務所の弁護士

 

   

 

 

 

小次郎君に怪我はなかったの？

 

 

 

 

 

うん。小次郎は大丈夫なんだけど、…お年寄りから足を元に戻せと言われているみたいなんだ。どうしたら、いいんだろう。 

 

 

 

 

 

そんなこと、小次郎君にできるわけないじゃない。そんな無茶な要求は無視しちゃえばいいのよ。

 

 

 

 

 

でも、自転車をぶつけたのは小次郎だよ。それでお年寄りに怪我をさせてしまったんだから、無視はできないんじゃない。

  

 

 

 

 

たしかに、お年寄りに怪我をさせた人は、法律上の責任を負うね。だけど、法律上の責任は金銭賠償が原則であって、被害者の損害を金銭的に評価した額を弁償すればいいんだ。

 

 

 

 

 

そのお年寄りは、お金の問題じゃないっていうんだ。

 

 

 

 

 

たしかに、お年寄りに謝罪したりして、お年寄りの気持ちに配慮することは、人としてやるべきことだね。だけどそのようなことは法律上強制することはできないし、そのような要求を認める必要はないよね。

 

 

 

 

 

そっか。お年寄りは、お金で弁償してもらえば、それを使ってお医者さんに行けばいいのね。

 

 

 

 

 

子どもが事故を起こした場合でも、弁償する責任があるのかな。

 

 

 

 

 

うーん。子どもなんだから弁償しなくてもいい…ってことにはならないのかしら。

 

 

 

 

 

それじゃあ、お年寄りがかわいそうじゃないかな。

 

 

 

 

 

そうね。小次郎君は、しっかりと前を見て自転車を運転することで、事故を起こさないようにできたんだから、不注意で事故を起こしたときには責任を負う…ってことになるのかな。

 

 

 

 

 

そうだね。注意深く行動することができる人には、事故を起こさないことができるのだから、不注意で事故を起こした場合には責任を負うことになるのだよ。

 

 

 

 

 

小次郎は子どもだけど、注意深く行動できるってことになるのかな。

 

 

 

 

 

絶対的な基準があるわけではないけど、12歳くらいよりも年上だと、事故を防ぐために注意深く行動することができると言われやすいね。

 

 

 

 

 

中学生くらいになれば、子どもでも責任を負うってことになるのね。

 

 

 

 

 

小次郎は、まだ10歳だから責任を負わないことになりそうだね。

 

 

 

 

 

小次郎君が責任を負わないとき、お年寄りは誰に請求できるのかな。

 

 

 

 

 

小次郎の両親が代わりに弁償するのかな。

 

 

 

 

 

世間的には、両親は子どものしでかしたことについて全て責任を負うと考えがちだね。たしかに、子どもがまだ小さくて責任を負う能力がない場合には、原則として両親が責任を負うことになるんだ。

だけど常に両親が責任を負うわけではなくて、両親がその義務を怠らなかった場合には責任を免れることになるんだよ。

 

 

 

 

 

どんな場合に、両親は義務を怠らなかったといえるのかな。

 

 

 

 

 

両親が日頃から子どもに対して、歩道は歩行者が優先であること、自転車のスピードを出しすぎてはいけないこと等のルールを子どもに教えていた場合じゃないかな。

他にも、自転車の練習にも立ち会ったりすることなんかも必要かもね。

 

 

 

 

 

わー。親ってたいへんだなー。

 

 

 

 

第３回目の次回は、「命の値段はいくら？」をお送りします。

 

 

交通事故｜新潟の弁護士による被害者相談

 

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