一新総合法律事務所の弁護士が執筆した『子どものためのやさしい法律ガイド』（考古学書店刊）から、交通事故に関する記事をご紹介します。

 

交通事故を防ぐため、ぜひお子さまと一緒に理解を深めてください。

 

＜新潟の弁護士と学ぶ、子どものための交通事故ガイド＞

 

第１回目　事故はなぜ起こるの？

第２回目　事故の責任は誰に？

第３回目　命の値段はいくら？

第４回目　交通事故を起こしたら

第５回目　もし交通事故にあったら

第６回目　保険のいろいろ

 

 

第６回目のテーマは、「保険のいろいろ」です。

 

 

翼君の友達の三浦君が事故にあって首を痛めました。

 

事故から５か月経ったので加害者が契約していた保険会社が示談しようとしてきましたが、三浦君の怪我はまだ治っていません。

三浦君は示談するべきでしょうか。 

 

■■　登場人物　■■

 

翼君

 

 菜々子さん

 

 三浦君

 

一新総合法律事務所の弁護士

 

 

 

 

 

ねえ、今まで損害とか示談の話をしてきたけど、加害者にお金がなかったときはどうすればいいの。

 

 

 

 

 

うーん。お金のない人に請求しても意味ないものね。

 

  

 

 

 

自動車事故の場合は、自賠責保険（自動車損害賠償責任保険）の加入が義務づけられているから、損害賠償を全くしてもらえないことはないはずだよ。

 

  

 

 

 

じゃあ、事故の被害者は確実に損害賠償をしてもらえるんだね。

 

  

 

 

 

そうでもないんだ。自賠責保険は支払限度額が一般的に任意保険より低いため、損害の全てについて救済してもらえるとは限らないんだ。

 

 

 

 

 

自賠責保険しか加入していなかった人が事故の加害者だった場合、保険で補填してくれない部分はどうするの？

   

 

 

 

  

加害者に直接的に請求するしかないんじゃない。

 

 

 

 

  

加害者に資産がなければ、被害者も加害者も大変なことになるのね。 

 

 

 

 

 

自分が事故を起こしてしまうかも知れない以上、自動車を運転する人はみんな任意保険に入っておくべきだね。

 

 

 

 

 

自動車事故以外の場合はどうなの。

 

 

 

 

 

火事に備えて火災保険、地震に備えて地震保険のほか、生命保険や医療保険などがあるね。

 

 

 

 

 

保険はいろいろあるけど、どのような場合に支払ってもらえるかなどをしっかり理解してから入らないと、後で期待はずれの結果になるから慎重にね。

 

 

 

 

 

そういえば、入院費が出ると思っていたら、保険金が支払われるのは５日以上の入院に限られていた、なんて話はよく聞くね。

 

 

 

 

 

ところで、三浦君の話だけど、示談すれば損害賠償してもらえるんだから、示談すればいいように思うけど。

 

 

 

 

 

でも示談すれば、もうこれ以上は請求しないという清算条項が入ってしまうんでしょ。まだ治っていない三浦君はこれから治療費がいくらかかるかわからないんだから示談なんてできないんじゃない。

 

  

 

 

 

そうだね。示談のメリットは早期解決だけど、自分がいくら請求していいのかわからないうちに示談してしまうのは早すぎるね。示談は、完治して損害額が確定してからするのが理想だね。

 

 

 

 

 

でも治療費をそのつど支払ってもらわないと、三浦君も大変ね。

 

 

 

 

 

そうだよ。損害が確定する前に、治療費などの損害の一部を請求することはできないの。

 

 

 

 

 

大丈夫。「仮渡金」というものが定められているんだ。

 

 

 

 

 

「仮渡金」って何？

 

 

 

 

 

本来、加害者の責任や損害額が確定してから支払われる保険金を、人身事故の被害者が、責任や損害額に争いがある状態で、治療費などの一定の損害について払ってもらうお金だよ。

 

 

 

 

 

じゃあ、三浦君は、首の痛みがなくなるまで仮渡金を請求していればいいの？

 

 

 

 

 

いや。「首の痛みがなくなるまで」とは言い切れないんだ。

 

 

 

 

 

なんで？

 

 

 

 

 

残念ながら、人は怪我をした場合に完治しないことがあるからだよ。保険会社は、治らない怪我に対して、いつまでも治療費を払い続けるわけにはいかないんだ。

 

 

 

 

 

じゃあ、保険会社はいつまで治療費を払ってくれるの？

 

 

 

 

 

これ以上、治療しても怪我がよくならないことがわかったときまでだよ。このような状態を「症状固定」と言うんだ。

 

 

 

 

 

でも首の痛みが残っているのに、それ以上治療費をはらってもらえないのはかわいそうじゃない。

 

 

 

 

 

「症状固定」の症状として、重い後遺障害が残ってしまった場合には、後遺障害についての慰謝料として別途損害賠償請求をすることができるよ。だけど、治療が無意味であることがわかった以上は、治療費としての請求はできないんだ。

 

 

 

 

 

三浦君は、お医者さんにまだ治療の必要があると診断されれば、仮渡金として治療費の請求ができることになるんだね。

    

 

 

 

 

交通事故｜新潟の弁護士による被害者相談

 

ご相談のご予約は、

フリーダイヤル　０１２０－１５－４６４０

または　ホームページ内の　申込予約フォーム　から。