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コラム

2020.04.08

眼に関する後遺障害

眼の構造図

 

 

はじめに

人は、様々な器官から情報を取り入れていますが、眼からの情報は80%とも言われており、人にとって眼は重要な器官となります。

 

眼に関する後遺障害は、自賠責保険において、次の2つに大別されます。

 

眼球の障害

視力障害

調節機能障害

運動機能障害

視野障害

まぶたの障害

欠損障害

運動障害

 

 

眼球の障害・まぶたの障害のいずれも、眼球やまぶたに対する直接の外傷によって眼球・まぶたの機能に障害を残した場合を前提にしています。

 

そのため、頚部のむち打ち症によっても,頚部交感神経に異常をきたすことにより、視力障害や調節機能障害を発症することがありますが(ホルネル症候群とも言います)、これは眼球に対する直接の外傷ではないため、眼球の障害の対象とはなりませんので、注意が必要です(この場合には、神経系統に関する後遺障害の該当性が問題となります)。

但し、高次脳機能障害によって半盲の視野障害が生じた場合には、高次脳機能障害での等級認定に加え、視野障害に関する等級認定がなされ、併合等級が認定される場合があります。

 

また、眼・まぶたに関する後遺障害は、別系統の障害として評価されるため、例えば、視力障害と視野障害の2つの障害が残った場合、併合ルールに従って併合等級が決定されることになります。

但し、視力障害については、両眼と一眼の後遺障害の等級がそれぞれ規定されているため一眼ごとの視力障害の等級を併合することはしません。

 

 

眼球に関する障害

1 視力障害

視力障害は、眼球打撲傷や黄斑部(網膜のうち視細胞が最もきめ細かく配置されている箇所)の受傷によって生じます。

 

視力障害の等級は、以下のとおりに整理されます。

 

両眼

 両眼が失明したもの

1級1号

 1眼が失明し,他眼の視力が0.02以下になったもの

2級1号

 両眼の視力が0.02以下になったもの

2級2号

 1眼が失明し,他眼の視力が0.06以下になったもの

3級1号

 両眼の視力が0.06以下になったもの

4級1号

 1眼が失明し,他眼の視力が0.1以下になったもの

5級1号

 両眼の視力が0.1以下になったもの

6級1号

 1眼が失明し,他眼の視力が0.6以下になったもの

7級1号

 両眼の視力が0.6以下になったもの

9級1号

一眼

 1眼が失明し又は1眼の視力が0.02以下になったもの

8級1号

 1眼の視力が0.06以下になったもの

9級2号

 1眼の視力が0.1以下になったもの

10級1号

 1眼の視力が0.6以下になったもの

13級1号

 

ここにいう視力とは、裸眼視力ではなく矯正視力を言います。

矯正視力とは、眼鏡・コンタクトレンズ・眼内レンズのいずれでも適用になります。

但し、コンタクトレンズについては、医師の管理下で、3ヶ月間の試行的な装用が必要になります。

 

「失明」とは、眼球を亡失したもの、あるいは、眼球を残していても暗明をようやく弁じることができる程度の視力を言います。

 

視力は、原則として万国視力表を用いて計測することになります。

 

 

なお、両眼に障害を負った場合に、一眼ごとの等級を定めて併合することはしませんが、両眼の視力が0.6以下となったときの等級(9級)よりも、一眼の視力が0.02以下となったときの等級(8級)の方が重度であることから、一眼の視力が0.02以下であれば8級として認定されることになります。

 

※障害年金制度との比較

障害年金の等級とは一致していませんので、注意が必要です。

 

障害年金の受給要件

自賠責制度

1級

両眼の視力の和が0.04以下

2級1号でも左記要件を満たすことがあります。

2級

両眼の視力の和が0.05以上0.08以下

4級1号や5級1号でも左記要件を満たすことがあります。

3級

両眼の視力が0.1以下

6級1号でも要件を満たすことになります。

 

2 調節機能障害

調節機能障害は、外傷によりピント調節機能を担う水晶体が損傷することによって生じる後遺障害です。

外傷性白内障との診断がなされることが通常です。

 

調節機能障害の等級は、次のとおりです。

 

両眼の眼球に著しい調節機能障害を残すもの 11級1号
1眼の眼球に著しい調節機能障害を残すもの 12級1号

 

上記の認定基準にある「著しい調節機能障害を残すもの」とは、受傷により障害が残った眼の調節範囲が障害の無い方の眼の2分の1以下に減じてしまった状態のことをいいます。

具体的には、アコモドポリレコーダー(調節機能検査装置)で調節機能の検査をします。

左右を3回以上測定して比較します。

 

また、両眼を受傷している場合や、受傷した眼は一眼でも比較対象となる他眼の調整範囲にもともと異常がある場合は、年齢別(5歳ごと)に標準値を定めた「調整力値」との比較により判断されます。

年齢別になっているのは、加齢によって調節機能が低下することが理由になります。

 

年齢

15

20

25

30

35

40

45

50

55

60

65

調節力

9.7

9.0

7.6

6.3

5.3

4.4

3.1

2.2

1.5

1.35

1.3

 

なお、受傷した眼の調節力がこの表により2分の1以下となっていても、受傷していない他眼の調節力に基づく年齢を上回っている場合には、実質的な調節力を減じていないとして、調節機能障害は認められないことになります。

例えば、受傷していない眼の調節力が2.1である場合、50歳以上の年齢に相当する調節力の低下が認められるため、受傷者の年齢が50歳以上であるときには、受傷した眼の調節力の数値に関わらず、後遺障害には該当しないことになります。

 

3 運動障害

眼球に対する外傷によって、眼球を動かす神経に障害を及ぼすことで運動障害が生じます。

 

眼球を動かす筋肉(眼筋)に関する神経には、

①内側・上・下・下斜に眼球を動かす運動に関係する動眼神経

②上斜に眼球を動かす運動に関係する滑車神経

③外側に眼球を動かす運動に関係する外転神経

があります。

それらの神経に麻痺が生じると、眼筋の緊張状態が崩れて眼球に偏位が生じ、斜視の症状が生じます。

 

具体的な検査方法ですが、頭部を固定し、眼球のみを動かすことによって見える範囲(注視野)を測定することによって行います。

正常であれば、単眼視では各方向50度(8方向で計測しますので合計400度)、両眼視では各方向45度(8方向で計測しますので合計360度)になります。

計測の結果、注視野が正常値よりも2分の1以下となっていれば後遺障害に該当することになります。

 

両眼の眼球に著しい運動障害を残すもの

11級1号

1眼の眼球に著しい運動障害を残すもの

12級1号

 

 

動眼神経麻痺の障害がある場合、複視の症状が見られることが多いと言われています。

複視が認められる場合には、後遺障害に該当することになります。

 

複視であるかどうかは、ヘススクリーンテストにより測定されます。

ヘススクリーンテストとはヘスコージメーターと呼ぶ検査機器を使い、指標を赤緑ガラスで見たときの片目の赤像、他眼の緑像から両眼の位置ずれを評価する検査方法を言います。

障害のある側の像が水平方向又は垂直方向の目盛で5度以上離れた位置にあることが確認されると複視の後遺障害が認められることになります。

 

正面を見た場合に複視の症状を残すもの

10級2号

正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの

13級2号

 

4 視野障害

視野とは、眼前の一点を見つめている状態で、同時に見ることができる外界の広さを言います。

眼に入った情報は、網膜から視神経を通じて脳内に伝達されますが、外傷により網膜や視神経が障害されると、情報がうまく脳に伝わらず、視野障害が生じることになります。

 

正常な視野は,次のとおりになります。

 

方向

上外

外下

下内

内上

合計

角度

60

75

95

80

70

60

60

60

560

 

ゴールドマン型視野計により、視野の角度の合計が60%以下(336度以下)になったと認められた場合に、視野障害の後遺障害となります。

 

視野障害には、症状に応じて次の3種類に区別されていますが、等級認定の方法に違いはありません。

 

①半盲症…視野の右半分あるいは左半分が欠ける症状

②視野狭窄…視野周辺の狭窄のことで視野が狭くなる症状

③視野変状…暗点の症状と視野欠損の症状

 

等級は、両眼・一眼によって次のとおり区別されています。

 

両眼に半盲症、視野狭窄、又は視野変状を残すもの

9級3号

一眼に半盲症、視野狭窄、又は視野変状を残すもの

13級3号

 

まぶたに関する後遺障害

1 欠損障害

外傷により瞼(まぶた)を欠損した場合に、後遺障害が認められます。

 

両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

9級4号

一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

11級3号

両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの

13級4号

一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの

14級1号

 

 

「まぶたに著しい欠損を残すもの」とは、普通にまぶたを閉じた場合に、角膜を完全に覆うことができない程度のものを言います。

 

「まぶたの一部に欠損を残すもの」とは、まぶたを閉じたときに角膜を完全に覆うことができるが、球結膜(しろめ)が露出している程度のものを言います。

 

 

「まつげはげを残すもの」とは、まつげ縁(まつげのはえている周縁)の2分の1以上にわたってまつげのはげを残すものを言います。

 

なお,まぶたの欠損は、外貌醜状とも捉えることができるため、両方の観点から後遺障害の等級を検討し、いずれか上位の等級で認定されることになります。

 

 

2 運動障害

外傷により顔面神経痛や眼瞼外反の傷害を負い、まぶたがうまく動かなくなった場合に、まぶたの運動障害の後遺障害が認められることがあります。

 

等級は次のとおりです。

 

両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

11級2号

一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

12級2号

 

「まぶたに著しい運動障害を残すもの」とは、まぶたを普通に開けたときに瞳孔を完全に覆うもの又はまぶたを閉じたときに角膜を完全に覆うことができないものを言います。

「兎眼」と言われる症状です。

 

 

まぶしさ(羞明)に関する障害

眼の瞳孔は光に反応して動き、取り込む光の量を調節しています。

これを「対光反射」と言います。

 

瞳孔の周りには,虹彩と呼ばれる円盤の膜があり、これが伸び縮みすることによって光の量が調節されています。

眼に対する外傷により、 虹彩が損傷したり、虹彩の収縮に関わる散大筋や括約筋が損傷したりすると、瞳の大きさを調節することができず、瞳が大きくなったままの状態になります。

これを外傷性散瞳と呼びます。

 

外傷性散瞳については、以下のように取り扱うこととされています。

 

両眼の瞳孔の対光反射が著しく障害され、著名な羞明を訴え労働に著しく支障をきたすもの

11級相当

両眼の瞳孔の対光反射はあるが不十分であり、羞明を訴え労働に支障をきたすもの

12級相当

一眼の瞳孔の対光反射が著しく障害され、著名な羞明を訴え労働に著しく支障をきたすもの

12級相当

一眼の瞳孔の対光反射はあるが不十分であり、羞明を訴え労働に支障をきたすもの

14級相当

 

 

 

 

この事例を担当した弁護士
弁護士 細野 希

細野 希
(ほその のぞみ)

弁護士法人一新総合法律事務所 
弁護士

出身地:新潟県新潟市 
出身大学:新潟大学法科大学院修了
新潟県都市計画審議会委員(2021年~)、日本弁護士連合会国選弁護本部委員(2022年~)を務めています。
事故賠償チームに所属。主な取扱分野は、交通事故と離婚。そのほか、金銭問題、相続等の家事事件や企業法務など幅広い分野に対応しています。
数多くの企業でハラスメント研修、相続関連セミナーの外部講師を務めた実績があります。

 

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