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コラム

2017.10.03

交通事故による「肘関節」の損傷と後遺障害

新潟県内で交通事故に遭い、肘関節に損傷や後遺障害を負われた方に役立つ情報を、弁護士が徹底的に解説いたします。

 

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肘関節の構造

肘関節の特徴

肘関節(ひじかんせつ。「ちゅうかんせつ」ともいいます)は、関節包の内部に腕橈関節、腕尺関節、上橈尺関節の3個の関節体をもつ複合関節体です。

骨と靭帯によって関節の安定性を保っています。

 

腕橈関節…上腕骨と橈骨の間の関節で、球状の関節です。

腕尺関節…上腕骨と尺骨の間の関節、蝶番状の関節です。

上橈尺関節…橈骨と尺骨の間の関節で、車軸状の関節です。

 

橈骨は、前腕の外側(色黒で毛の生えている側)にある骨で、尺骨は、前腕の内側(色白で毛の生えていない側)にある骨です。

関節と運動

肘関節のうち、屈曲・伸展運動(肘の曲げ伸ばし)は、腕橈骨関節と腕尺関節で行われます。

肘関節の回旋運動(ひねる動き)は、上橈尺関節及び下橈尺関節により行われます。

 

肘関節を使って(肩関節を使わずに)、手のひらを上に向けた状態から下に向ける動作が「回内」です(回内の場合、橈骨が動き尺骨の周りを回旋し、橈骨と尺骨が交差します)。

その逆の動作が「回外」となります(回外の場合、橈骨と尺骨は、平行になります)。

代表的な損傷

肘頭骨折

肘頭骨折について

肘頭とは、肘関節の後方部に位置し、一般的に「肘鉄」と呼ばれる部分です。肘頭は、上腕と前腕をつなぐ蝶番の役割をしており、肘関節の曲げ伸ばしをする機能を有しています。

 

肘頭骨折は、交通事故等により転倒し、肘を着いた際の外力によって生じることがあります。

肘頭を骨折すると肘痛や腫脹がみられます。肘頭は上腕三頭筋という太い筋に付着しており、骨折した際に上腕三頭筋によって引っ張られ、転位が生じやすい(折れた骨片が引き裂かれる)とされています。骨折の場合には、転位が起こりやすいとされています。

治療方法

骨折の転位が軽微な場合には、手術を行わずに、ギプス固定による保存療法を行います。1カ月程度固定し、その後、肘の曲げ伸ばしのリハビリをすることが一般的です。

骨折の転位が大きい場合(粉砕骨折等)には、手術を行い、細い針金を巻いて固定したり、ばらばらになった骨のかけらがたくさんある場合には、金属プレートを用いて固定することもあります。

橈骨骨頭骨折

橈骨骨頭骨折について

交通事故等により、転倒し、肘関節を伸ばした状態で手を着いたときに生じます。橈骨骨頭は、肘をひねる動作に特に影響するので、ひねると強い痛みが生じます。

橈骨骨頭骨折の場合には、肘関節の可動域制限を残しやすいとされています。

治療方法

転位が軽微な場合には、4~6週間程度のギプス固定をすることが一般的です。

転位が大きい場合や粉砕の場合には、手術療法がとなり、プレートやスクリューによる内固定を行います。

橈骨・尺骨骨幹部骨折

橈骨・尺骨骨幹部骨折について

骨幹部骨折は、橈骨または尺骨の中央部を骨折することをいいます。

多くは、交通事故等による強い外力によって生じます。橈骨と尺骨の両方が折れると、通常その中央部は大きく変形し、ゆ合不全が起きやすくなります。

 

橈骨と尺骨の長さに不均衡が生じて骨癒合すると、手関節に痛みが生ずる場合があります。

開放骨折となることもあります。

皮膚に損傷がなくても、血管が傷ついて手の血流が低下したり、神経が傷ついて手の感覚がしびれたり指が動きにくくなることがあります。

治療方法

骨折のずれが軽微であれば、手術を要せず、ギプス固定による保存療法を行います。

骨折のずれが大きい場合には、手術によって鋼線による固定やプレート固定を行います。

フォルクマン拘縮について

フォルクマン拘縮とは、骨折によって血管が損傷・圧迫され、その周囲に血液が流れなくなり、血流の停滞や腫脹から生じる筋肉の阻血性壊死等により起こる手の拘縮をいいます。

進行すると、筋や神経に回復困難な損傷を生じますので、早期の発見や予防が重要となります。

後遺障害認定のポイント

機能障害

1級7号

両上肢の用を全廃したもの

5級4号

1上肢の用を全廃したもの

6級5号

1上肢の3大関節中の2関節の用を全廃したもの

8級6号

1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの

10級9号

1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

12級6号

1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

 

人工関節となった場合には8級または10級に該当します。

 

手術によりスクリューやプレートで固定をした場合には、拘縮を残しやすくなりますので、可動域制限が生じやすくなります。

 

フォルクマン拘縮が進行した場合、手関節・手指が用廃となる場合があります。

 

「上肢の用を全廃したもの」(1級、5級)とは、3大関節(肩関節、ひじ関節、手関節)の全てが強直し、かつ、手指の全部の用を廃したものをいいます。

 

「関節の用を廃したもの」(6級、8級)とは、次のいずれかに該当するものをいいます。

 

(1)関節が強直したもの

「強直」とは、関節自体が癒着し可動性を全く喪失した状態をいいます

(2)関節の完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態にあるもの

「これに近い状態」とは、他動で可動するものの、自動運動では関節の可動域が健側の可動域の10%程度以下となったものをいいます

(3)人工関節・人工骨頭をそう入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域の1/2以下に制限されているもの

 

「関節の機能に著しい障害を残すもの」(10級)とは、次のいずれかに該当するものをいいます。

 

(1)関節の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの

(2)人工関節・人工骨頭をそう入置換した関節のうち、その可動域が1/2以下には制限されていないもの

 

「関節の機能に障害を残すもの」(12級)とは、関節の可動域が健側の可動域角度の3/4以下に制限されているものをいいます。

変形障害

7級9号

1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

8級8号

1上肢に偽関節を残すもの

12級8号

長管骨に変形を残すもの

 

肘頭骨折、橈骨骨頭骨折、橈骨・尺骨骨幹部骨折の場合に変形障害を残すことがあります。

 

「偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」(7級)とは、橈骨及び尺骨の両方の骨幹部又は骨幹端部(以下「骨幹部等」をいう)にゆ合不全を残し、常に硬性補装具を必要とするものをいいます。

 

「偽関節を残すもの」(8級)とは、次のいずれかに該当するものをいいます。

 

(1)橈骨及び尺骨の両方の骨幹部等に癒合不全を残すもので、7級に至らないもの

(2)橈骨又は尺骨のいずれか一方の骨幹部等にゆ合不全を残すもので、時々硬性装具を必要とするもの

 

「長管骨に変形を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。

 

(1)橈骨及び尺骨の両方に変形を残すもの(ただし、橈骨又は尺骨のいずれか一方のみの変形であっても、その程度が著しいものはこれに該当する)で、15度以上屈曲して不正ゆ合したもの

(2)橈骨又は尺骨の骨端部にゆ合不全を残すもの

(3)橈骨又は尺骨の骨幹部等にゆ合不全を残すもので、硬性装具を必要としないもの

(4)橈骨又は尺骨のほとんどを欠損したもの

(5)橈骨又は尺骨(それぞれの骨端部を除く)の直径が2分の1以下に減少したもの

 

*前腕の回内・回外については、その可動域が健側の4分の1以下に制限されているものを10級、2分の1以下に制限されているもの12級に準じる関節の機能障害として取り扱うとされています

 

なお、回内・回外の可動域制限と同一上肢の関節の機能障害を残す場合は、併合の方法を用いて準用等級を定めます。

ただし、手関節部又は肘関節部の骨折等により、手関節又は肘関節の機能障害と回内・回外の可動域制限を残す場合は、いずれか上位等級で認定されます。

 

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この記事を執筆した弁護士
五十嵐 亮

一新総合法律事務所 弁護士
 五十嵐 亮(いからし りょう)

一新総合法律事務所理事・長岡事務所所属
2009年弁護士登録/事故賠償チームに所属/交通事故に関するセミナー講師実績多数。

日々の勉強や他の弁護士との活発な意見交換を通じて自己研鑽を積むとともに、依頼者の方々に対しては、懇切丁寧なコミュニケーションを行い、よりよい解決に導けるよう心がけております。

 

 

 

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