弁護士法人 一新総合法律事務所 新潟の弁護士による交通事故被害者相談

MENU

MENU

新潟の弁護士による交通事故被害者相談

MENU

MENU

コラム

2022.09.29

◆赤本講演録勉強会報告◆「高次脳機能障害認定に関する裁判例の研究」弁護士:勝野 照章

この記事を執筆した弁護士
勝野 照章

勝野 照章
(かつの てるあき)

弁護士法人一新総合法律事務所 
弁護士

出身地:長野県 
出身大学:信州大学法科大学院修了
主な取扱分野は、交通事故、金銭問題等。また、刑事事件では31年2月に無罪判決(確定)を獲得し、現在も数多くの刑事事件で私選弁護人を務め、全力で依頼者の利益を追求しています。
所外の活動としては、長野青年会議所の理事を務め、長野県の発展に貢献しています。

1.器質性精神障害と非器質性精神障害

非器質性精神障害とは、脳の器質的損傷を伴わない精神障害とされています。

非器質性精神障害では、外力による器質的損傷と異なり、精神機能の障害の存在やその原因を客観的に確認することが難しく、その原因や機序が不明確で事故との因果関係の判断に困難が伴います。

そこで今回、過去の裁判例が器質性精神障害(いわゆる高次脳機能障害)と非器質性精神障害がどのような要素をもって判断しているのか、研究することとなりました。

2.最初の要素

最初に考慮される要素は、事故によって頭部への外傷があり、脳挫傷等の脳損傷が認められるかどうかです。

頭部への外傷や脳損傷があれば直接的に脳への強い打撃について認めることができます。

この脳損傷の有無を判断するにあたっては様々な医学的機器がありますが、裁判所がその判断手法についてどのような見解を示しているかが次のとおりとなります。

・神戸地裁 H26.8.15

(CTやMRIでの明確な画像所見がなく)拡散テンソル画像やFA-SPM解析画像の基礎になるPETやfMRI(磁気共鳴機能画像法)の信頼性に疑問があるとする医学的見解もあることから、これらの画像結果をもって脳外傷を裏付けることはできない。

・大阪地裁 H26.12.15

拡散テンソル画像、FA-SPM image、FDG-PETは、いずれも現時点では、技術的な限界等から、それらのみで脳損傷の有無、障害程度等を確定的に示すことまではできない。

・名古屋地裁 H27.10.27

PET検査において、左前頭葉に酸素消費量の相対的低下が認められたとしても、これのみでは、脳損傷の有無、認知・行動面の症状と脳損傷の因果関係あるいは障害程度を確定的に示すことはできない。

3.第2の要素

受傷直後の意識障害の有無も大きなポイントとなります。

頭部への外傷や脳損傷があり、かつ受傷後の意識障害が認められると、精神症状の内容を踏まえて高次脳機能障害として認定されるケースが多くなります。

意識障害に関する裁判所の判断として、次のようなものがあります。

・札幌高裁 H18.5.26

事故後の意識障害が「目の前が真っ暗」になったという程度で脳萎縮等の画像所見はないが、複数の鑑定人の意見書(肯定3、条件付2、否定1)を比較検討して高次脳機能障害にあたると判断した。

・名古屋地裁 H24.2.24

脳室拡大・脳萎縮等の画像所見はなく、意識障害の程度も低いが、入院時から記憶障害が現れていたことなどから、自賠責が非該当とした精神障害を脳の器質的障害として7級と認定した。

・名古屋地裁 H22.7.30

ごく短い時間の意識障害しかなく、脳萎縮等の画像所見もない被害者について軽度外傷性能損傷(脳しんとう)として、器質的損傷による高次脳機能障害5級を認定した。

4.最後のポイント

最後に高次脳機能障害として認められるためには発症している精神症状が他の要因(認知症や既往症としての精神症)ではないこと、すなわち受傷の結果精神症状が発生したという因果関係が必要となります。

因果関係については、肯定例、否定例の両方がありますが、今回は主に否定例について取りあげました。

・東京地裁 H24.4.17

受傷後4年以上が経過した段階で認知機能の飛躍的改善が認められたことは、原告が脳に器質的損傷を被ったことと整合せず、精神的・心因的要素の影響が推認される。

・名古屋高裁 H22.2.12

遅発性(事故から2年半の経過)の精神症状について、医学的な説明がつかず、高次脳機能障害の症状は心理的要因に基づくことが推測される。

・東京地裁 H21.12.25

事故後に認知症を発症した被害者(男性・事故当時85歳)。

原告の主張する高次脳機能障害(認知症状)は、事故から約7か月後のところで、本件事故とは時間が余りにも離れすぎており、頭部打撲を原因として認知症を発症するとは困難といわざるを得ない。

5.まとめ

以上のように、高次脳機能障害の認定には複雑なプロセスがあり、そのハードルも低いとはいえません。

高次脳機能障害を認定してもらうには、判断要素に従って受傷前と受傷後を比較し、信用性の高い証拠を集めることが重要です。

交通事故の被害にあい、高次脳機能障害の認定についてお悩みの方は、ぜひ一度弁護士への相談をご検討ください。

__________________

[参考文献]

民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準 平成31年版下巻(講演録編)49~83頁/公益財団法人 日弁連交通事故相談センター東京支部

民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準 平成17年版下巻(講演録編)67~92頁/公益財団法人 日弁連交通事故相談センター東京支部


「交通事故」についてお悩みの方、弁護士をお探しのみなさまは、一新総合法律事務所までどうぞお気軽にお問い合わせください。
交通事故被害者の方かららのご相談は何度でも無料(※弁護士特約を利用の場合は除く)です。

悩むよりも、まずご相談ください

交通事故被害者の不安を一日でも早く取り除くため、弁護士が最大限のサポートをいたします。

無料相談する
フリーダイヤル 0120-15-4640

※土曜日のご相談予約受付時間は、9:00~17:00(1時間短縮)となります。

対応エリア

【対応エリア】
新潟県(新潟市、新発田市、村上市、燕市、五泉市、阿賀野市、胎内市、北蒲原郡聖籠町、岩船郡関川村、岩船郡粟島浦村、西蒲原郡弥彦村、東蒲原郡阿賀町、加茂市、三条市、長岡市、柏崎市、小千谷市、十日町市、見附市、魚沼市、南魚沼市、南蒲原郡田上町、三島郡出雲崎町、南魚沼郡湯沢町、中魚沼郡津南町、刈羽郡刈羽村、上越市、糸魚川市、妙高市、佐渡市)、長野県(長野市、松本市、上田市、岡谷市、飯田市、諏訪市、須坂市、小諸市、伊那市、駒ヶ根市、中野市、大町市、飯山市、茅野市、塩尻市、佐久市、千曲市、東御市、安曇野市、南佐久郡、北佐久郡、小県郡、諏訪郡、上伊那郡、下伊那郡、木曽郡、東筑摩郡、北安曇郡、埴科郡、下高井郡、上水内郡、下水内郡)、群馬県(高崎市、前橋市、桐生市、伊勢崎市、太田市、沼田市、館林市、渋川市、藤岡市、富岡市、安中市、みどり市、北群馬郡、多野郡、甘楽郡、吾妻郡、利根郡、佐波郡、邑楽郡)

新潟 新発田 燕三条 長岡 上越

弁護士法人 一新総合法律事務所

あなたの笑顔を第一に。地域の皆様とつながりながら、輝く未来につなげるために、納得と安心のリーガルサービスをご提供いたします。

あなたの笑顔を第一に。地域の皆様とつながりながら、輝く未来につなげるために、納得と安心のリーガルサービスをご提供いたします。

交通事故被害者 電話無料相談

当事務所では交通事故チーム所属の弁護士による無料電話相談を行っております。電話相談をご希望の方は「電話相談希望」とお申し付けください。

無料電話相談は以下のような方におすすめいたします。
重傷事故にあい、事務所にいらっしゃるのが難しい方
弁護士費用特約に入っているけれど、身近に相談できる弁護士がいない方
慰謝料など、損害賠償金について知りたい方
・その他、交通事故にあい今後の手続に不安を感じている方
~電話無料相談 ご留意事項~
・交通事故被害者側のご相談に限らせていただきます。
・相談時間の目安は10~20分程度です。事案によっては後日の面談相談をご案内させていただく場合もございます。
・原則として弁護士が折り返しお客様にお電話させていただく形での対応となります。当日の折り返しが難しい場合は、翌営業日以降の折り返しとなることもございます。
・ご相談にあたっては必ず当事者のご氏名等を確認させていただいております。相手方が当事務所にご依頼いただいている方でないか等、利害関係の確認のために必要な情報です。匿名でのご相談は承れませんので何卒ご容赦ください。​

悩むよりも、まずご相談ください悩むよりも、まずご相談ください

交通事故被害者の不安を一日でも早く取り除くため、弁護士が最大限のサポートをいたします。

相談料無料 無料相談する

フリーダイアル 0120-15-4640

お電話からのご予約はこちら フリーダイアル 0120-15-4640

相談料無料 無料相談する

予約受付時間
9:00~18:00

※土曜日のご相談予約受付時間は、9:00~17:00(1時間短縮)となります。

ご相談を
お急ぎの方へ

一新総合法律事務所運営サイト

新潟県弁護士会・長野県弁護士会・群馬弁護士会・東京弁護士会所属

Copyright(c) ISSHIN PARTNERS

弁護士法人 一新総合法律事務所
Copyright(c) ISSHIN PARTNERS

ページの先頭へ
頭部 頭部 顔(目・耳・鼻・口) 首 首 肩 肩 脊髄等 脊髄等 腕・肘・手 腕・肘・手 腰 腰 骨盤等 骨盤等 膝 膝 足 足 足 足 頭部 頭部 顔(目・耳・鼻・口) 首 首 肩 肩 脊髄等 脊髄等 腕・肘・手 腕・肘・手 腰 腰 骨盤等 骨盤等 膝 膝 足 足 足 足