本件は、自宅近くの道路を横断中に、路外から出てきた車に衝突され、死亡したという死亡交通事故になります。

突然の出来事に、遺族の処罰感情が強く、民事の損害賠償請求のほか、被害者参加手続きを依頼され、加害者の刑事公判手続きにおいて、加害者に対する尋問や処罰に対する意見を述べました。

民事の損害賠償では、慰謝料のほか、過失割合が争点となりました。

過失割合について、当方が５％の主張に対し、保険会社は１５％の主張でした。

もっとも、本件については、当事務所の指導で死亡までの入院治療について健康保険を利用したことで、入院費用が大きく抑えられたとの事情がありました。

その事情を考慮してもらいたいと主張して交渉した結果、書類上では１５％の過失割合とする代わりに、実質的な賠償金額を、当方主張の５％の過失割合による金額にすることで示談に至りました。

「交通事故には健康保険が利用できない」という誤った認識があるのか、交通事故による治療費について健康保険を利用しないケースがあります。

しかし、被害者側に、一定の過失が認められるケースでは、治療費の過失の負担が生じ、受け取れる賠償金額が目減りする結果となります。

特に、本件のように入院治療があると、健康保険を利用しないと治療費が膨大になり、健康保険の利用は必須と言えました。

実際に、健康保険を利用しなかった場合との比較は難しいですが、数百万円は違いが生じていたと思います。