被害者は７０代の無職の女性です。

信号の対交差点において被害者が横断していたところに右折しようとした加害車両が衝突し、被害者は路上に転倒して負傷しました。

被害者は、このような交通事故により、脳挫傷、外傷性くも膜下出血、急性硬膜下血腫、頭蓋骨骨折、顔面骨折、肋骨骨折、肺挫傷、恥骨骨折、臼蓋骨骨折のケガを負いました。

約４カ月間入院し、その後退院しましたが、脳挫傷による後遺症（高次脳機能障害）、具体的には失語症を残し、後遺障害３級３号に認定されました。

被害者は、交通事故の前は、息子と同居していたものの、交通事故の後は、息子と別居することとなりました

また、独居生活は可能であったものの、火の消し忘れ、掃除、買い物が困難であったことから、ヘルパーの支援を受けるようになり、家族による定期的な見守りも必要になりました。

保険会社は、被害者が交通事故当時、高齢かつ無職であったことから、休業損害及び後遺障害逸失利益をゼロ円として賠償の提示をしてきました。

当事務所では、交通事故前に息子との生活のため家事労働をしていたことなどを資料に基づき増額を主張しました。

傷害慰謝料及び後遺障害慰謝料も低めの提示でしたが、交渉により増額を主張しました。

交通事故当時、無職や高齢の場合に休業損害や後遺障害逸失利益の支払を拒否されることはよくあるケースです。

本件は、無職や高齢の場合でも、交通事故前に息子さんと同居し、家事労働をしていたが、交通事故によりそれができなくなったことを丁寧に立証し、増額に成功しました。

また、後遺障害認定３級相当の高次脳機能障害ともなると、日常生活に相当の支障が生じますから、将来介護費の請求もすることが重要です。

本件でも、後遺障害によって日常生活にどのように支障が生じているのかを丁寧に立証することで増額に成功しました。